新建築 住宅特集 2012年12月号
Nov.19.2012
新建築 住宅特集 2012年12月号
掲載:寄稿
出版社:新建築社
出版年:20121119
言語:日本語
ページ:p.205
ISSN:13426516
Contribution
Publisher: ShinkenchikuSha
Year: 2012
Language: Japanese
Page: p.205
ISSN:13426516
日本全国地域特集 寄稿:地域性への眼差し
九州
中原祐二-鹿児島
地域性には諸要素あるかと思うが、設計において、やはり気候の要素は大きい。
鹿児島は温帯から亜熱帯気候に属し、年間の降水量は2,200mmを超え、桜島の灰も降る。鹿児島での建築は夏場の厳しい気候(陽射しや台風)、降灰が課題となるので、「屋根」「庇」を普遍化することを常に考えている。このふたつが、本州とは比較にならないほど住宅の重要な要素となる。
灰が詰まるため軒庇を設けないことも重要である。設計時には大きくガーゴイルを設けたり、敷地によっては屋根・外壁を一体化することで処理している。このような厳しい気候により、必然的に形態が決定されていく。しかし意外にも、これらの気候が考慮された鹿児島の建築は少ないように思う。
「美学」だけを追及するのではなく地方の歴史・文化を継承していくこと、同時にそのための職人を育てる土壌が必要である。その場所の土着的な良さを認識していかないと建築は変わらないのではないか、と考えている。